シリコンバレー企業訪問

先週はシリコンバレーに足を伸ばして色々な会社を訪問する機会がありました。

NewCoというイベントで、シリコンバレーの大企業からスタートアップまで様々な会社が参加しています。
内容としては、それぞれの企業が参加者(主に学生と投資家)に対して会社概要/戦略をプレゼンし、その後に簡単なネットワーキングを行うというもの。参加企業はこちら↓
http://sv.newco.co/

僕の場合は、申し込みが遅かったため、行きたかったテスラのオフィス訪問は逃しましたが、
それでも十分に堪能できました。以下、備忘のため、簡単にまとめます。

Survey Monkey
https://jp.surveymonkey.com/
1社目に訪問したのはSurvey Monkey.言わずと知れたOnline SurveyをFreemiumモデルで行っている会社です。
質問数10まで/回答数1000件までの利用は無料、それ以上のプロフェッショナル利用は有料というモデル。
また、有料会員にはデータ分析などのオプションもあり。1999年に設立され、Freemium / Saasの老舗という感あり。

気づきとしては、Servey Monkeyは単なるアンケートサービス会社なだけではなく、1日に200万件以上も入ってくるアンケートを活用したビッグデータを活用した顧客分析や回答分析が行われており、アンケートの趣旨や目的に合わせ最適化を行う技術が強みとのこと。

Mightybell
一方、次は本当に小さなスタートアップ。Professional NetworkのSNSサービスを提供するMightybell。
自営業者、教師など特定の職種に絞ったネットワーキングツールで、Facebook/Linkedinなど大きくてオープンなネットワークで補えないニッチなコミュニティを取り込んでいるとのこと。参加したもののあまり興味がある業種ではなかったのでふんふんと聞いていました。

EatClub
https://www.myeatclub.com/
3社目はEatClub。こちらは最近、シリコンバレー/サンフランシスコでブームになっているFoodTech企業の一つ。
ビジネスモデルとしては、簡単に言うと、提携レストランで調理したランチボックスをクライアント企業のオフィスに届けるといういたってシンプルなもの。ただし、そこはTechというだけあり、午前中にアプリでとった注文を早く正確に届ける技術には目を見張るものがありました。ビジネスモデルとしては日本でいう「ゴチくる」に近いかなーと思いましたが、法人に絞っている点とオーダリングをモバイルメインに据えているところが違うところ。

EatClubについては、ご馳走になった昼食もさることながら、Co-Founder兼CEOのRodrigo氏のプレゼンが非常に良かった。プレゼンの内容は「Tips to bootstrap your business (ビジネスを自力で立ち上げるためのアドバイス)」というもの。Rodrigo氏はStanford GSB卒業と同時に初めての事業としてEatClubを立ち上げており、当然、資金もなければFinanceも受けれるような状況になく、ただただアイデアがあるだけという状況からの事業スタート。1度目の起業家の多くが直面するこういった厳しい状況の中で、いかに生き抜いたかを実感を持って語ってくれました。当たり前に聞こえる事もありますが、まとめるとこんな感じ:

(1) Pick Co-founder carefully (共同創業者を慎重に選ぶ)
Bootstrappingにおいては、人にはお金をかけられないため、ほとんどのことは自分でやる必要があります。その際にやはり全くバックグランドの違うCo-Founderが必要。(ちなみにRodrigo氏の場合は、同じStanford GSB出身の科学者がCo-Founderだったとのこと。)

(2) Watch money like a hawk (金はシビアに管理)
これも当たり前に聞こえるが、彼のストーリーがすごい。Rodrigo氏は卒業の1週間前に就職先も資金もなく、むしろ学生ローンで借金まみれの状況でなんとか事業化できないかを検討。まずはStanfordに学生ローンを貸してもらえるように交渉に行ったそうですが、当然、卒業1週間前に「学生ローンを追加で貸してください」といっても「はぁ?」という対応だったそうですが、そこは彼の話術と西海岸の寛容さでなんと$5,000ドルの資金を調達。(Co-Founderと合わせて$10,000)。これを元手にビジネスを開始。とにかくビジネスに資本を集中させるために、Expenseを節約。学校に借りていたオフィススペースを追い出され、卒業後も寮に住み続けていたのも追い出され、最終的には知り合いのオフィスの倉庫の隅っこにテーブルを置かせてもらうなど、とにかく徹底ぶりがすごい。そんな彼がいうには一番きつかったのはやはり人件費。オペレーションが大きくなるにつれ回りきらなくなり、オペレーションマネージャーを雇ったところ数ヶ月で資金が枯渇しかけたとのこと。やはり、この規模のスタートアップにとって人件費は最も頭の痛いところ。いかにタダ働きをしてくれる人を見つけるかというのも大切なポイント。

(3) Avoid outsourcing jobs you can do yourself (自分でできることは全部自分でやる)
とにかく、Bootstrappingフェーズではすべてのことを自分でやってみること。Rodrigo氏は容器の調達から配達まで全部を自分でやった経験あり。これが大事な理由としては、1) 経費を節約できる、ということもさることながら、2) 一旦自分でやってみることで、本当にアウトソースが必要となった時に要件がクリアになる、ということが大きかったと。例えば、彼はオーダーを取るためのサイトを作成するときに、PHPというprogramming言語を2週間で勉強してなんとか作り上げたとのこと。この経験があることで、Websiteアウトソーシングする際に「何がいくらで必要」というのが非常にクリアに理解できていたと。

(4) Invest in incorporating & website domain (会社設立とドメインには金をかけろ)
一方で、取り返しのつかないところには絶対にお金をかけろと。彼の失敗談として、websiteドメイン「eatclub.com」を創業当初に取得しておけばよかったと後悔していました。というのは、会社名が有名になってしまうとドメインの料金が急激に高くなってしまうので、お金がない時期でもドメインには投資しておけばよかったと。同じく、法人設立については失敗は絶対に犯せないため、弁護士や事務処理などについてはお金をかけるべきと。

(5) Design the business model that generate cash quickly (すぐに金を生む仕組み作り)
これもBootstrappingでは絶対に必要なことですが小さくてもキャッシュが生まれる仕組みを創業当初から作っておくこと。Eatclubの場合は、お客様に「ポイントを一括購入」(例えば100ポイント100ドルなど)をしてもらいそれをランチに使ってもらう方式を採用。一方、レストランには納入の1週間後へ代金支払い。つまり、客からもレストランからも前借りをして資金を回すことにより、かなりキャッシュフローが助かったとのこと。

(6) Don't take no as an answer (ノーと言われても引き下がるな)
このビジネスの肝は、レストランからDeep Discountを引き出すこと。Rodrigo氏の一番すごいところは、レストランに何回断られても粘り強く説得し、サプライネットワークを作り上げたところ。特に彼は、自分自身がMexicoの移民であることも踏まえて、移民のRestauranteオーナーと個人レベルでの関係構築しそこから契約をもぎ取っていった。特にBootstrapping当初では経済的なメリットをパートナーに与えるのは難しいので、Personalサイドでいかに信用してもらうかが大事だと。

BerkeleyのMBA生は口を開けば「起業」「起業」といっていますが、90%以上のスタートアップが数年で消えて無くなる中で、成功する経営者は「当たり前のことを着実にやる」というところがやはり重要なのかなと思いました。
(圧倒的なコンテンツや技術を持っていて、資金が集まる会社は別ですが・・・。)


Linkedinなども回ったのですが、長くなったのでまた別の機会に。